モグモグ。
ハンバーガーを頬張りながら、俺たちは帰路についている。チーズバーガーと比べると物足りない感があるハンバーガーは、相当久しぶりに食ったが、案外うまい。
「真依。おいしい?」
やはりハンバーガーを頬張りながら、尚子が鵬塚に尋ねた。
当の鵬塚はスキップでも始めそうなほどに上機嫌だ。小さい口でハンバーガーを少しずつ減らしていきながら、頬を緩ませっぱなしだ。
その鵬塚は、何度もコクコク頷き、瞳を輝かせて尚子、岬、俺の順に見た。そして――
「……すっ……く……しい……な……がと……」
「へ? 何スか?」
相変わらずの鵬塚語に、やはり岬だけが戸惑った様子。
……何というか。そのまんま訳すの嫌だな。尚子に任すか。
そう思ったのだが、尚子に視線を送ると、彼女は楽しそうに笑って、ハンバーガーを持っていない方の手で岬を示す。あんたがどうぞ、ということらしい。
何の嫌がらせだ?
とはいえ、岬だけ置いてけぼりってのもアレか……
さて――
「あー何だ。その……『すっげーうめぇ。おめーらサンキュー』だとよ」
言葉遣いを乱暴にしてみても、この内容は恥ずいな…… ちょっと赤面してるかもしれん。
クスクス。
尚子と鵬塚が含み笑いをしている。
……お前ら、何かむかつくぞ。