不器用な魔法使い

1つ前のお話『風邪っ引き魔法使い』の小話。
ガウェイン(ガキ)→マチカ(鈍い)の一方通行に萌える(笑)
※マ=マチカ、ガ=ガウェイン。

「こんにちは、皆さん。『星屑亭』の看板娘、マチカです。こちらは常連の魔法使い、ガウェインくん。にしても、単発てきとーファンタジーのはずだったのに続いちゃったね、ガウェインくん」
「続いたとは言えねぇだろ。こんなじゃ」
「まあそうだけどさ。はぁ、作者が気まぐれを起こしてシリーズ化しないかなぁ」
「却下だ。下手にシリーズ化なんてされたら、しちめんどくせぇ仕事がまわってきそうじゃねぇか。邪教のアジト潜入とかシーサーペント退治とか王宮のお家騒動に巻き込まれるとか」
「シリーズともなれば騒動は免れないだろーねー。てか、ガウェインくんってめんどくさがりだよね。ちゃんとお仕事してる?」
「心外だな。ボクはこれでも、この町のみならず、遠く王都でも有名な魔法使いなんだ。偉いんだぞ」
「自分で言うかな、そーゆーこと。ま、有名なのが本当なのは知ってるけどさ。『風邪っ引き魔法使い』という二つ名で」
「ぐっ! し、しかし、きちんと実力も評価されている。宮廷魔法使いにと誘われたこともあるんだ」
「だから自分で言わない方がいいよ。矮小に見えるから」
「むむむ! 不愉快だ! もうマチカは嫁にしてやらねぇ!」
「いや、してもらわなくていいし。あたしはガウェインくんみたいな派手好きの勘違い男より、物静かな学者風の人が好きなの」
「ぬぬぬぬぬっ! そ、そういう男は巨乳が好きなんだっ! マチカは無理だ!」
「なっ! う、嘘よ! 物静かな人は、あたしみたいな黒髪ロングで控えめな体型をした令嬢風美少女を好むのよ!」
「……人のことは言えねぇが、そーゆーことは自分で言わない方がいいんじゃねぇか?」
「うっさい!」
「まあいい。とにかく、嘘とは心外だな。せっかくマチカのために、知り合いの学者にアンケートをとってやったというのに。回答の9割は、金髪碧眼の巨乳女をめとりたいとのことだ」
「……な、なんですって。髪は染めるにしても、眼はどうすれば。それよりも問題なのは……」
「まあ、あきらめることだ。マチカにふさわしい男が他にいるさ。そう、例えば――」
「ガウェインくん!」
「お、おう。なんだ?」
「お金貸して! 無利子で!」
「は?」
「前に雑誌で見たの。王都では、貴族の娘さん向けに豊胸手術っていうのをやってくれるお医者様がいるって! でも費用が高くて…… ガウェインくん、お金だけは無駄に持ってるでしょ?」
「……………知るか! 不愉快だ! 帰る!」
「え、ちょ、ガウェインくん! ……行っちゃった。何怒ってるんだろ? てか、お金貸して……」

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