神話

「空が好き」
 そう言った君の心が欲しくて、僕は天空の覇者となった。

「水が好き」
 そう言った君に笑って欲しくて、僕は涙を流して海を作った。

「死が嫌い」
 そう言った君が寂しそうだったので、僕は死出の国を支配した。

 そして、時が過ぎ、君が僕のもとを去った。
 あとには、『神』という馬鹿げた称号だけが残った。
 けれど、彼女がいない以上、僕が何かをすることは、もうない。奇跡も、悲劇も、僕の手によって引き起こされることは、決してない。
 神は死んだんだ。

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