取り戻せぬ過去

 時が過ぎる。
 ただ時が過ぎる。

「まいったな」
 男が独りたたずみ、呟いた。時を操ろうとした愚かな人の子。
 時は、何ものにも従属しないというのに……
「逆行時魔法――成程、禁魔法とされているはずだ」
 時に逆らう者は、怒りを買った。その流れから投げ出された。
 もはや彼は時を享受できない。ただ在るだけだ。
「……せめて生きてるあいつを、もう一度だけでも見たかったな」

 時が過ぎる。
 ただ……時が過ぎる。

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