その壁は
叩いても
ぶつかっても
何をしても
びくともしない
強く高く
そこに在る

でもある日
壁は泣き崩れ
弱く低くなった
なのに皆は
壁は強く高いもの
と思い込み
泣き崩れる壁に
気づきもしない

女の子が壁の前を
通りかかった
そして涙を流す壁を
不思議そうに見た
「あなたはだあれ?」
「私は壁です」
女の子は驚く
そして笑う

「いつもありがとう」

壁は泣き止んだ
そして再び
強く高くなった
壁は皆を護っている
でも壁は
強くない
壁もまもられてる
だからこそ
護れる

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