夏休み明け、友達の様子が変です。
「どうかしたの? 朝からずっと机につっぷしてるけど……」
「……何か、無性に悲しい気分」
そう言って、窓の外を眺めてため息ばかりついています。
これはもしかして……
「失恋でもした?」
もしそうなら、今日の帰りは慰めパーティ決定です。
「う〜ん、というかねぇ〜」
あたしの質問にしばし瞳を閉じて考え込んでから、顔ごとあたしからそらして頬に一筋の汗を伝わせて、苦い顔でしぼりだすように次のようにその友達は言いました。
「逆に何もなかった」
……………
長い沈黙が落ちました。
あたしも友達も何も言えません。そこから導き出される答えは一つ。
あたしは思い切ってその結論を口にしてみることにしました。
「つまり、何もなかったからこそ悲しいんだね」
ゆっくりと頷いた友達の頬に今度伝ったのは汗ではありませんでした。
失恋じゃなかったけど、慰めパーティ決定です。