細く長く、ほろ苦く

 ぽりぽり……
 ぽりぽり……
「俺の人生は、この菓子のようだったなぁ」
「何ですか、突然」
 ぽりぽり……
 ぽりぽり……
「細く、長く、特徴のない平坦な道だった」
「貴方がそうなら、私もですよ。お互い結婚もせず、こんな年まで腐れ縁」
 ぽりぽり……
 ぽりぽり……
「お互い、つまらん人生だったなぁ」
 ぽりぽり……
 ぽりぽり……
「そうですね。でも――」
 ぽりぽり……
 ぽりぽり……
「私は、このお菓子が大好きなんですよ」
 ぽりぽり……
 ぽりぽり……
「ああ。俺も――」
 ぽりぽり……
 ぽりぽり……
「大好きだったよ」
 ぽりぽり……
 ぽりぽ……

 ぽりぽり……
「来世で待っていてくださいな」
 ぽりぽり……
「細く、長く、平坦で、つまらなくても……」
 ぽりぽり……
「次こそは、この菓子のまま、そのままに……」
 ぽりぽり……
「甘さが、欲しいです」
 ぽりぽり……

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